日本語教師養成講座講師の矢野です。
アルファベットは26文字、大文字小文字を合わせても倍の52文字です。日本語は50音といいますが、現代語で実際に使うのは46文字、ひらがな、カタカナで92文字、これに膨大な数の漢字が加わります。初めて日本語に触れる外国の方、特に非漢字圏の学生の苦労は大変なものでしょう。私たち日本人が初めてハングルや中東の文字に触れたときの戸惑いよりも、もっと途方にくれているはずです。
ひらがなであれば曲線の組み合わせ方やねじる方向、カタカナでは線の長さや交差の角度など、最初は絵柄もしくは図案としてとらえているはずです。日本人でも幼児期に長い時間をかけて身につけたものを、大人といえどもそう簡単に覚えられるわけではありません。文字はさらに音と結びつけて覚えなければなりません。一朝一夕にできるものではありません。
日本語教師として何年もそうした学生たちと接してきて、彼らの苦労はわかっているはずですが、「どうしてまだ書けないの?」とついつい言いそうになる気持ちをぐっと飲み込むことは珍しくありません。学生たちも努力しているんだから、もう少し我慢しなければなあ。
日本語教師、根気も必要です。