こんにちは。 日本語教師養成講座ニューヨークアカデミー福岡大橋校の牟田です。
「酷暑の夏」も、峠を越したようですね。しかし、「夏の疲れは、涼しくなってから出る。」と言われていますので、皆さん、どうぞ、ご自愛ください。
さて、「養成講座」の授業の中には、「言語の系統(語族・語派)」という項目があります。
しかし、このジャンルは、「唯一無二」のものではなく、研究者によって分類の違いが見られるものです。
当時、私は、「さあ、日本語はどの語族・語派に属しているのかな?」と思い、「言語の系統一覧表」を見てびっくりしました。 何と、「不明」、つまり、「日本語の系統は、明らかにされていない。」ということでした。
「~語族だ」と、判断するのには、少なくとも、以下の三つのことが必要となるそうです。
・文法が似ていること ・日常的な言葉が似ていること ・発音が似ていること
しかし、未だにそれらの基準を満たすだけの「似ている言語」は見つかっておらず、結果的に「どの語族に属するか不明」なので、「日本語は孤立した言葉」と呼ばれているそうです。
「日本語」は、「和語」・「漢語(もとは古い時期の中国語)」・「カタカナ語(もとは西洋の言葉が多い)」の大きく三つを組み合わせて使われている言語です。つまり、外国由来の言葉を数多く使っているということですね。では、日本に住み始めた人々は、元々どこから来たのか?
定説と言えるようなものは、まだ存在していませんが、遺伝子での研究が進むようになり、新たな説も、唱えられるようになってきているようです。
今の「日本人」は、大きく二つのグループの祖先を持っている、とされています。
・縄文系 ・弥生系
縄文系は、縄文時代に、主に活動していた人々で、古い時期に日本に来た人たちだと言われています。弥生系は、縄文時代の終わり頃に、朝鮮半島や中国の南部からやって来た、いわゆる「渡来人」で、彼らが、「稲作の技術」などを、日本に伝えた、とされています。
日本に入ってくるルートとしては、太平洋側からは考えにくいので、北(中国北部・ロシア経由)、東(朝鮮半島経由)、南(中国南部・台湾周辺経由)があって、そこから入って来た人々は、日本列島にとどまるケースが多かった、と想像されるそうです。
結果的に、日本列島には、異なる言語を持つ集団が複数存在することになり、それらの集団が、西日本でお互いに接触や侵略を繰り返すことで、徐々に、「和語」が形成されていったのではないか、と考えられています。
また、ユーラシア大陸の端っこに日本列島が存在しているがゆえに、「和語」が他の言語に侵略されず、どの言語とも関係が見いだせない「孤立した言語」になったのではないか、と考えることは可能だということです。
なお、東日本では、どうだったか…と考えると、文化圏が西と東で異なっていたことから、東北や北海道を中心とした地域では、「和語」ではなく、「アイヌ語」に繋がる言語が形成されていた、と考えられています。「アイヌ語」が「日本語」との関係が薄い、とされているのは、これが理由なのかもしれません。
結論としては、「不明」ということになってしまいましたが、私たち日本人が毎日使う言葉の始まりはどこなのか、興味を持って、色々な説を調べてみるのも、楽しいのではないでしょうか!
それでは、また、ブログでお会いしましょう!