日本語教師養成講座担当の矢野です。
約1年ぶりに「あいうえお」から教えています。
先日の授業では濁音を教えました。日本語学習を始めて3日目。「がぎぐげご」「ざじずぜぞ」と五十音順に進んでいっていたのですが、次の「だ、ち、づ、で、ど」に差しかかると学生が目を丸くして聞いています。
なぜなら、直前に習った「じ」「ず」と「ぢ」「づ」の発音がどう聞いても同じだから。(実際同じなのですが)
と、ここで質問。
“発音が同じなのにどうして文字が二つあるのですか?”
皆さんならこの問いに対してどう説明しますか?
仮名遣いについては、内閣告示の「現代仮名遣い」で決められていますが、それを説明しても3日目の学習者にはハードすぎるでしょう。
ここで活躍するのが「日本語史」の知識です。問題の「じ・ぢ」「ず・づ」は四つ仮名と言って、江戸時代までは音の区別がありました。今は音の区別はないけど、書くときに区別することがあるから、文字だけは残っているんですよ、と説明しました。
すると、「言語は変わっていくものですからね。今は覚える音が少なくてうれしいです。」と学習者。
昨年からは、日本語教育能力検定で優先して出題される基礎項目ではなくなりましたが、侮るなかれ!
日本語史は意外と役に立つんです。