スタッフブログ

2012年3月23日

5円玉と50円玉

日本語教師の渕田です。

外国人の学生にとっては日々の生活がすべて「日本事情」の学習です。色々なことに違和感や疑問を持って、日本を理解する手がかりとしています。

先日、千円札や500円玉など紙幣や硬貨に関することばを勉強していたとき、学生の一人が突然こんな質問をしました。
「5円玉と50円玉にはどうして穴が開いているんですか?」
「いい質問ですね。」と答えながら、内心では何でだろうと考えこんでしまいました。

こんな時は必殺の質問返しが有効です。
「皆さんはどうしてだと思いますか?」
すると中国人のある学生が、「昔の人はお金に糸をとおして持ち歩いていたんでしょう?」とするどい意見。皆深くうなずいています。
別の学生が「糸をとおしたお金を投げたりしていましたよね。」
それは銭形平次だけだよと思いながら学生たちを見ると、みんな何のことだか分からずにポカンとしています。

私がいつも感心するのは、学生たちがこのようにいろんなことに疑問を持ち、それをみんなの前で堂々とことばに出して表現できることです。表現力もさることながら、好奇心の強さと知らないことを隠さずに解決しようという態度は日本人が見習うべきことかもしれません。

日本語教師は日々教えられる立場でもあります。

因みに、上記の疑問について調べてみました。
理由は主に3つ、ひとつは穴を開けることで形が複雑になって偽造防止になるということ。
もうひとつは大きさや色が似ている硬貨と見分けやすくするため。
そして3つ目は、穴を開けることで大きさを変えずに材料の使用量を少なくすることができるということです。50円玉は100円玉と同じ素材で作られていますが、材料の量を半分にすると小さくなりすぎて使いにくくなります。穴を開けることで大きさを変えずに製造コストを抑えることができるのだそうです。

次の授業で教えてあげることにします。