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2012年3月14日

ポカラのお寺

NILS日本語教師の渕田です。今回もネパールの昔話をご紹介します。

ここはネパール随一の景勝地ポカラにある湖です。ポカラはエベレストをはじめ美しい山々に囲まれた温暖な保養地として古くからヨーロッパ人が観光に訪れる町です。そしてこの湖の真中にある小さい島、よく見るとお寺が建っています。今回はこのお寺にまつわるお話です。

昔ポカラに小さい村がありました。ある日この村を通りかかった旅人が一夜の宿を求めて村人にお願いしたそうです。
「すみませんが、今夜一晩泊めていただけませんか。」
ところが村人は、「お前を泊めるところはない。帰れ。」と言って、扉を閉めてしまいました。
旅人は隣の家を訪ねましたが、返事は同じ。
さらに隣の家を訪ねましたが、これも返事は同じ。
何軒も訪ねてあきらめかけたとき、その家のおばあさんが「うちでよければ泊まって行きなさい。」と言って、優しく招き入れてくれました。

その夜、村に信じられないほど激しい雨が降りました。わずか一夜で村は水の底に沈んでしまいました。ところが不思議なことに、あの村人を泊めた一軒の家だけは沈まずにぽっかり浮かんでいました。

その話を聞いた人は、その旅人が神様であると信じるようになりました。そして旅人が泊まった家のあとにはお寺ができ、人々がお祈りに訪れるようなったということです。このお寺にお祈りをすると夢がかなうと言われ、今でもネパールの人だけでなく様々な国から人々が訪れる場所となっています。

海外からはるばる日本語学びに来る学生たちも旅人のようなものです。見知らぬ異国の地での生活に苦労しています。私達日本語教師はそうした旅人たちに率先して手を差し伸べる役割を負っています。ひとりでも多くの旅人の助けになれればと思います。