こんにちは。日本語教師の薄です。
先日、NILSでEJUの模試を行いました。EJUというのは「日本留学試験」のことで、日本の大学に入学したいと思う留学生が受ける試験です。日本におけるセンター試験のように、マークシートの試験です。大学入試ではEJUの点数が合格基準になる大学もあります。ですので、日本語だけでなく数学や総合科目(地理・歴史・公民のようなもの)や生物・物理・化学などの科目試験もあります。どの科目が必要なのかは、受ける学科、大学によって違うのも日本のセンター試験と同じです。
NILSの上級生たちは、今回、日本語の科目の模試を行いました。外部試験の模試であるため、日ごろ受けているテストといろんなことが違います。学内の試験ならもうスラスラ解き始めることができますが、今回の試験は試験を受ける前にある説明をしなければなりませんでした。いったい何の説明だと思いますか?試験時間でしょうか。カンニング行為の確認でしょうか。もちろんそれも行いますが、それは日頃受けているテストで注意されているので、今回は長くは説明しませんでした。
では、いったい何の指導をしっかりしたのか!
それは、マークシートの塗り方の説明です。塗り方が雑な人、薄い人だけでなく、答えは一つしかないのに、記号をいくつも塗ってしまう人がいるのです。いくつも塗ってしまう人の中には、問題が分からなかったのでどれか当たればいいなあと考えたずるいという人もいますが、そもそもマークシートで試験をしたことがないのでどうしたらいいのか分からないという人もいるように感じます。
日本語教師をしていると、自分たちにとっては当たり前で普通のことが、外国人の学生にとってはそうではないということが、本当にたくさんあります。
分からないことが事前に分かっていれば、今回のテストのように、塗り方の説明を行ってスムーズにテストを行うことができます。しかし、事前には想像もつかなかったことがいくつも起こります。おそらく、日本語教師をしていればずっとなくなることはありませんね。
想像もつかないことが起きたとき、私がいつも心にとめているのは、「自文化の常識や感覚で相手の行動を判断しない」ことです。学生が想像と違う行動をしたとき、いらっとしたり、不満を感じたりすることがあります。でも、それは自文化を基準にしているからです。そのまま、学生に対応しても、学生は日本の文化にスムーズに適応することはできません。日本語教師が異文化を受け入れ、うまく学生を日本の文化に適応させること、それも日本語教師の大切な仕事の1つだと思います。