こんにちは、日本語教師の平田です。
4月~5月初めにかけ、たくさんの新入生が続々来日しました!毎日、ドイツ、アメリカ、イギリス、ベトナム、インドネシア、中国、韓国、ネパールなど様々な国の学生を寮に案内したり、家電の使い方や学校のルールを教えたり、教科書を渡したり、しています。新入生は初めて来た日本に、皆キラキラした顔をしていて、とてもうれしそうです。そんな顔を見ると、こちらもうれしくなってきますね(^^)
さて日本語は世界の様々な言語の中でも、習得が難しい言語だと言われています。特にひらがな・カタカナ・漢字と言語表記が3種類あることが、これから日本語を勉強しようとする学生にとって大きなハードルとなるようです。学生に「日本語はどこが難しいですか」と聞くと、やっぱり漢字という声が多いです。確かに「人」という漢字を読もうと思っても、「にん」「じん」「ひと」など様々な読み方があり、非常に複雑ですよね。これは誰でも想像できると思います。
それでは「カタカナ」はどうでしょうか。現在、カタカナは外来語を表記する際によく用いられています。そのため「カタカナ」は比較的、留学生にとって取っ付きやすく、形さえ覚えてしまえば、簡単に書けると思ってしまう人も多いようです。
ところが、学生のテストや作文を見ていると「カタカナ」のミスがよく目に付きます。どうして「カタカナ」が出来ないのか、日本語教師を始めたころは不思議だったのですが、最近だんだんと原因が分かってきました。それは大きく分けて2つあると思います。
①重要度が低い(と思ってしまいがち…)
カタカナはひらがなに比べると、使う頻度が少ないと思ってしまい、ついつい覚えるのを後回しにする学生が多いです。しかし、学生は自分の氏名、自国名や地名等をカタカナで書くことを頻繁に要求されます。なので、実際は日本人以上に、カタカナを使う機会は多いです。そのため、初級の最初の段階でひらがなと同等にカタカナをしっかり覚えることはとても重要なことだと認識させることが大切です。
②原語と発音が違う
皆さんも知ってのとおり、外来語は元の言語とは発音が違います。なので、学習者が第一言語の単語をカタカナ表記しようと思っても、もとの言語の音に引っ張られて日本語として正しく書けないことが多いのです。
例えば、よく日本語が出来るアメリカの学生でも韓国の「seoul」を「シェール」と書いたり、料理の「steak」を「ステーク」と書いたりします。特に長音符号「-」が入っている言葉は原語では別の音が入っているため、どこが長音になるのかわかりにくいようです。しばらく日本語を勉強したネパールの学生でも、自国の名前を「ネ―パル」や「ネパル」と書いている人が多くいます。
この問題を解決するためには、まず日本語の音に慣れさせる必要があります。日本語話者は「カメラ」を「camera」とは発音せずに、「カ」「メ」「ラ」と発音することを表記とともに覚えさせる必要があります。さらに、語頭の「a」や「u」は「ア」になりやすいこと、語末の「ar・ur・er」等は「-」になりやすいこと等、カタカナ表記の原則的なルールを教えることで英語からカタカナへ変える手助けになります。
実は、私は最初のうち、学習者に「camera」ではなく、「カメラ」と発音させるのはどこか恥ずかしくて抵抗があったのですが、前述したとおり、カタカナは学習者にとってとても重要なもの。日本語学習の初期段階で、カタカナで発音でき、書けるようにしておかなければ、後々、学習者はとても困るので今ではとても気をつけて教えています。
新学期の授業も始まりました。カタカナだけでなく、学生がミスをしていたら「どうして間違ってしまうのか」をよく分析して、これからも授業に臨んでいきます!