こんにちは。日本語教師の宮﨑です。
来期の準備を始める時期が来ました(というか、もう始まっていますが…)。学期が変わると新しい先生もやって来ます。NILSでは新任の日本語教師向けに研修を行います。初めて教壇に立つ先生も多いので、授業のことだけではなく先生としての心構えについても指導しています。
・授業中に起こること
・その問題点や解決方法
・授業をコントロールするためのコツ
・テストの受験のさせ方
・学生との接し方
など、いろいろあります。当たり前のことだと思いますよね?しかし、私たちが教える学生は日本人ではないので、日本人の「当たり前」が通用しないことも多く、予想もしないようなことも起こります。
例えば、新入生に多いのですが、雨の日に、
「雨ですから遅刻しました」
などと平気で言う学生がいます。豪雨や暴風雨ならば仕方ないと思いますが、ちょっとした雨でもこんなことを言う学生がいます。日本人だとそのようなことはないですよいね。そのようなときは、文化・習慣の違いですので、きちんと学生に説明して指導するように新人の先生に教えます。雨が降っていて徒歩で登校するのであれば、早めに家を出るように、などなど…。
「早めに家を出るなんて、当たり前でしょ!」って思いますが、それを丁寧に指導していかなければなりません。
もちろん授業内容についても研修を行います。各学校それぞれの授業のやり方やカリキュラムがあり、「日本語の授業はこうです」と言うことはできません。また、初級、中級などレベルでやり方は変わるし、ひと口に日本語といっても、漢字、語彙、文法、読解などの科目があります。
国内には多くの日本語教育機関がありますが、先生に授業の内容を全て任せきりの学校もあるし、教材や教授法、授業の流れを決めている学校もあります。NILSは後者です。NILSでは、授業の流れ、宿題、教材・教具などを指定しており、すべての先生が同じ教材・教具を用いて同じ流れで授業をします。これは、学生の負担をなくし、新任の先生が授業に入っても、授業の質を一定に保つためなのです。同じクラスを複数の先生が担当する際、先生ごとに違う教材・教具を使うと学生に負担になります。
例えば、先生Aは授業で「佐藤さん」を登場人物で使うとします。次の授業を担当する先生Bが「田中さん」を登場人物として使うと、学生はそれぞれの先生が授業で使う登場人物について、その登場人物の設定を理解しなければなりません。また、学生の注意が登場人物に向いてしまい、本来、その授業で身に着けてほしいことがそれてしまう可能性もあります。授業で使う登場人物といえども、全員が同じ登場人物を使えば、その登場人物の設定もスムーズにいくし、学生もその登場人物だけを覚えてしまえばいいので余計なことに注意を向ける必要がなくなり、少しではありますが、学生の負担を軽減することができ、より日本語の学習に集中できます。
新人のときは、授業にはいると緊張したり慌ててしまったりすることも少なくありません。ですので、NILSでは、授業に入る前にできるだけ不安要素をなくせるように新任の日本語教師に研修を行います。
せっかく教壇に立つのですから、準備万端にして、自信をもって学生に日本語を教えてもらいたいですね。