こんにちは、日本語教師の平田です。
ここ数年、非漢字圏の留学生増加に伴い、日本語教育にとって課題になっているのが「漢字」。「漢字」がない国の学生にとって「漢字」は非常にとっつきにくいものです。
どうして読み方が幾通りもあるの?
ここの線は何本?
ここは跳ねる?止める?
ここの線は切れているの?つながっているの?
私たちが文字だと認識しているものは学習者にとってはルールが定かではない暗号のように難解で、覚えようとしてもなかなか覚えられないものだと思います。そのため、苦手意識も生まれやすく、初級が終わり中級に入っても漢字が読めず、中には諦めている学生すら見られます。
しかし、だからといって「漢字」を避けて日本語の会話だけできればよいと教師側が勝手に判断して良いのでしょうか。「漢字」が出来なければ困る場面が学習者にはたくさんあります。
例えば大学、専門学校の受験。漢字が出来なければ願書に何が書いてあるかもわかりません。例えば日本語資格。漢字が出来なければ日本語能力試験で高いレベルを取得することも、日本留学試験で高得点を取ることも難しいでしょう。
さらにビジネスシーンでも使う場面は限りなくあります。また日本の漫画や小説を読もうにも「漢字」が読めなければ内容をつかむことは難しいと思います。私たちが「漢字」をわかりやすく教えないことで学習者たちが日本語を使って出来ることはどんどん狭まっていくわけです。
そこで学習者たちの未来を広げるためにも私たち日本語教師は「漢字」に苦手意識を持たれない工夫が必要になります。まずは基本的な漢字の書き方を教えたあと、漢字はいくつかのパーツでできていること、それぞれの部位に意味があることをわかりやすく提示する。例えば、明るいという漢字は日と月という別の漢字が組み合わさってできており、「日と月が一緒に出て明るい」といったいくつかの漢字を使ったストーリー仕立てで教えたり、太陽のイラストを使って日の漢字を教えたりするのも有効だと思います。
そして自宅での練習の仕方、覚え方も学習者といっしょに確認することも大切です。ただ単に「漢字を覚えなさい」と言って、わけがわからない暗号を覚えるのと、ルールがわかっている文字を覚えるのでは学習者の負担は段違いに変わっていきます。非漢字圏の留学生が増えている昨今、日本語教師にとって「漢字」の教え方は知恵を絞って考えていかなければならない課題です。私自身も学習者が一つでも「漢字」を覚えられるように日々、新たなアイディアで授業をブラッシュアップしていかなければならないと考えています。
2016年6月24日