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2012年3月7日

ネコとトラ

日本語教師の渕田です。

前回ネパールの昔話をご紹介しました。今回もその続きをと思って学生に教えてもらいました。ネコとトラのお話です。

昔、ネコとトラは仲が良かった。あるときネコはトラに木の登り方を教えて欲しいと頼まれて教えてあげました。しかしトラは登り方は教わったものの降り方が分からず木から落ちてしまいました。トラは怒ってネコを追いまわし、言いました。「今度お前を見つけたら食ってやる。それだけじゃない。お前の糞もだ。糞を見つけたときは、それも食ってやるからな。」糞を食われるなんてネコにとってこんな恥ずかしいことはありません。それ以来ネコは自分の糞を砂で隠すようになりました。また降り方を知らないトラは今でも木に登りません。

するとそれを聞いていた中国の学生が、同じような話が中国にあると言うのです。こちらの話ではトラはネコに狩りの仕方を習います。いろいろ丁寧に教えるのですが、木登りだけ教えるのを忘れるのです。狩りを覚えたトラはネコの肉の味を知りたいと思い、ネコに襲いかかります。すんでのところでネコは木の上に逃げて命拾いします。それ以来ネコはトラを恐れて人里に住むようになったという話です。

これだけではないのです。沖縄の昔話としてインターネット上で紹介されていたネコとトラの話では、ネコはトラに空手を習うんです。力をつけたトラはネコに勝負を挑みます。それを予期していたネコは木登りだけは教えなかった。木の上に逃げて事なきを得るのですが、それ以来ネコは糞のにおいで自分の居場所を知られることを恐れて、糞に砂をかけるようになったということです。

ネパールの話と中国の話は絵本として出版されています。それよりも面白いのは、ネパールの話が中国よりも沖縄の話に似ていることですね。民俗学的興味をそそられますね。日本語教師をやっているとこんなことにも出会えるんです。