日本語教師養成講座担当の石田です。
3月を迎え、日本語学校も卒業シーズンです。私の勤めるNILSでも卒業生たちが卒業文集の作成に励んでいます。
各国から集まった学生たち、日本では当たり前の3月の卒業式に違和感を感じている人もいるようです。というのも3月に卒業式を迎える日本は、むしろ少数派、いや私の知る限り唯一かもしれません。学生たちに尋ねてみると、中国では6月から7月、韓国では2月、アメリカも6月から7月、インドは4月、オーストラリアでは12月に卒業式を行うそうです。そういえば、東京大学の秋入学が話題になっていますね。3月卒業4月入学のスケジュールでは海外の学校とつながりにくいのはよく分かります。
日本はなぜ4月入学なのか調べてみました。明治時代になって学制が始まった当初は欧米と同様日本も9月入学だったそうです。それが政府の会計年度が4月スタートとなり、陸軍学校の入学や入隊届け日が4月になると、軍の人材確保を優先するため圧力をかけてほぼ全部の学校が4月入学に統一されたという経緯のようです。それが平成の現代まで続いているのですね。
さて、NILSの卒業を控えた学生たちは、寒い季節の卒業式に違和感を感じつつも日本語学校での思い出を日本語で残す作業を楽しんでいます。日本語教師としては嬉しいような、寂しいような何とも言えない気持ちです。卒業後何年か経って、NILSのことを懐かしく思い出してくれる日が来るのでしょうか。