日本語教師養成講座トレーナーの下川です。
私が日本語教師として指導しているNILSには、1年から2年の長期コースの他に短期コースがあります。その短期コースの学生もレベルは様々で、ある程度日本語を学習してから来日した人もいれば、全く日本語を知らない状態で来日した人もいます。イスラエルから来日した学生(仮称イスラエルさんとしておきましょう)はほとんど日本語を勉強しないままに来日した一人です。
イスラエルさんは入学してまだ1ヶ月が経ったばかり。最初はひらがなどころか「おはよう」や「ありがとう」のあいさつも言えませんでした。イスラエルさんが毎朝通ってくる道は小学校の通学路にもなっていて、何人かの小学生と同じ方向に歩くことになるようです。そんなことを毎日繰り返しているうちに一人の女の子と友だちになったようで、先日その女の子からお手紙をもらったと大喜びで見せてくれました。それによるとその子は小学1年生。ピンクの可愛らしい便箋にたどたどしい文字で、それでもイスラエルさんよりは数段上手な文字で書かれていました。
イスラエルさんのやる気は途端に急上昇。もっと日本語で話したい。漢字も書けるようになりたい。早く上手になりたいとすごい勢いで日本語の勉強に取り組んでいます。片言の日本語で一生懸命コミュニケーションを図ろうとしているイスラエルさんの姿を想像すると、微笑ましくうれしくなり、私もしっかり教えてあげようという気持ちが強くなります。
これも日本語教師のやりがいのひとつです。