日本語教師養成講座担当の矢野です。
日本語学校の教室へ行けば生徒はみんな外国人。日本人は日本語教師ただ一人です。日本の常識がこの空間だけでは通用しないということもよくあります。
先日の授業の例文は、「あなたの国を旅行したいんですが、どこを見たらいいですか。」「~を見たらいいです。」でした。「万里の長城を見たらいいです。」「アンコール・ワットを見たらいいです。」というのがこちらの想定している回答。中には「トンカンカム市場を見たらいいです。」と、私の勉強不足かもしれませんが、「えっ」と反応すると、周りの学生はさも当然の答という顔でうなずいています。調べてみるとトンカンカム市場はラオス最大の市場だとのこと。クラスの大半の生徒にとっては当然の答だったんですね。
授業の中では名札を使用することがしばしばあります。日本人である私は当然白地に黒の文字で名前を書いて準備します。すると中国の生徒たちが不満そうな顔です。理由を聞いてみると白と黒は不吉な色だとか。中国では赤地に黒文字が一般的なんですって。日本語教師は教室で日本文化を一身に背負って各国の「常識」と戦う外国人なんです。