検定情報ブログ

2020年4月24日

誰だって合格できる?!日本語教育能力検定試験

この記事は2019年10月に公開した記事を「公認日本語教師資格の要件について」加筆したものです。

日本語教師になるには、以下の3つのルートがあります。

  • 大学で日本語教育の主専攻、または副専攻を学び修了する。
  • 学士の学位を持っている人が、日本語教師養成講座の420時間コースを受講し修了する。
  • 日本語教育能力検定試験に合格する。

 

外国人生徒に日本語を教える日本語学校、日本語教育機関等で日本語教師として教えるには、上記3つのいずれかの条件を満たす必要があります。ただし、上記2の「420時間コース」は文化庁に認定されている講座でないと認定されません。

現在外国人労働者の受け入れ拡大で日本語教育の需要が増える中、日本語教師の資質の向上がさらに求められます。

2019年9月、文化庁の文化審議会小委員会から出された「日本語教師」の概要のまとめでは、公認の日本語教師となるには、筆記試験に合格、日本語学校などで教育実習を履修、大学卒業以上の3要件となっています。
また、この“公認の”資格の有効期間は10年で更新時の講習も義務付けられます。

これは、あくまで現時点では文化庁が認める「公認の日本語教師」という位置づけとなり、この公的な日本語教師の資格がないと日本語教師として教えることができないというものではありません。

現在日本語教育に関わる人は全国で42,000人ほどいますが、日本語教育の能力に差があることは指摘されています。

日本語教育能力検定試験、受験者・合格者の現状

日本語教育能力検定試験の合格は、多くの日本語学校の採用基準となっています。
単にボランティアで日本語を教える場合は420時間の講座を受講修了すれば可能ですが、日本語教育の需要が高まる中、420時間の講座受講後、日本語教育能力検定試験の受験と試験合格は、日本語教師を目指すなら当然必要と考えるべきです。例年の合格率は23~28%。試験の難易度により異なりますが、正答率70%以上であれば合格圏内と言われています。
250点満点のうち、2018年は165点が合格最低ラインでした。

この年のデータは応募者数8,600人程度のうち、全科目受験者数は6,850人程度、合格者は1,937名、合格率は28.3%でした。2015年から合格率は年々上がってきています。
受験者数も2015年以降は6,000人から8,500人と右肩上がり。外国人が日本に住む率が増えてくるにしたがって、日本語教育の需要も比例して高くなっているのがわかります。

また2018年の各地区の受験者数は以下でした。やはり外国人居住率が高い関東地方、近畿地方に集中しています。

試験範囲は日本語の文法から心理学、国際社会や文化に関することなど、多岐に渡ります。
(日本国際教育支援協会のホームページ http://www.jees.or.jp/jltct/index.htmをご参照下さい)

「誰だって合格できる?!日本語教育能力検定試験」

日本語教育能力検定試験自体は“しっかり検定対策をした方”は誰でも合格できます。ではどうやって対策をするのか、合格できる目安はどうやって測るのかをご説明します。

対策1:絶対条件 とにかく過去問!

まずは試験のパターンや難易度を把握することです。
過去問を解くことによって、問題の傾向や何を答えさせたいのかという「問題作成者の意図」がわかってきます。
この過去問で7割取れているかどうかが合格の目安です。
実力試しに1回やって「なんとなくわかった」「全然だめだった」で、試験対策本に走ってはいけません。徹底的に過去問をやりつくします。

検定試験には、専門用語がたくさん出てきます。
わからない言葉はその都度調べ、繰り返し覚えていき、過去問5年分を4、5回は繰り返し解くこと。
試験Ⅰ・試験Ⅲについては、徹底的に過去問をやることが合格への近道です。
試験Ⅱの聴解問題もCDを繰り返し聞くこと以外、方法がありません。

検定試験合格者の多くは、過去5年分の過去問を何度も繰り返し解いています。これが合格のカギです。

対策2:苦手分野の克服

過去問を数回解いて、自分の苦手分野が何なのかを把握することが必要です。

「検定試験の中で苦手」とよく聞くのは、第Ⅱ部の聴解です。
これに関してはまずは問題のスピードにも慣れなければなりません。
試験では最初に例文が流れてから、その後問題が始まりますが、この例文が流れている間に何を準備するかによっても、問題の解きやすさはずいぶん変わります。
聴解に関しては出来るだけ多くの問題を経験することも重要です。
もちろんそれぞれの解答の根拠を理解していきながら進めてこそ力になります。聞き取れないものについては、聞き取れるようになるまで繰り返し聞きましょう。出勤中、移動中にイヤホンで聞くのも良いと思います。このあたりは英会話の勉強に似ています。

第Ⅲ部の最後には記述問題が用意されています。この記述も苦手意識がある方も多いようです。
記述問題は内容に“正答”があるわけではなく、個人の意見を記述する問題です。裏をかえせば、文の構成の仕方さえ押さえれば点が稼げる問題といっても良いかもしれません。
配点は試験Ⅲ100点中の20点。練習すれば、きちんと点が取れます。

論文に自信のない人は過去問の記述問題を実際に原稿用紙に書いてみて、可能であれば検定対策講座の講師などにチェックしてもらうのが良いでしょう。

原稿用紙に書いてみると、意外と原稿用紙上での記述の仕方にもあやふやな部分が出てきます。一度確認しておきましょう。また、問題を読んでから書き終わるまでの時間も計っておくべきです。
時間がかかりすぎるようなら、短時間で書けるように訓練しておかなければなりません。

第Ⅲ部の他の問題にかける時間にもよりますが、記述問題の読み初めから書き終わりまで、15分程度を目標にすると良いでしょう。

また、実際の試験では朝から試験Ⅰ(100分)、昼休みを挟んで試験Ⅱ(90分)、試験Ⅲ(120分)の最後の最後、疲れ果てた頃に、重たい記述問題が待っています。しっかり練習して、あまり体力気力を必要としなくても書けるようにしておきたいですね。

誰だって合格できる?その「誰」になるには?!

日本語教育能力検定試験の合格ポイント

  • 過去問をやりつくし、7割合格を目指す。
  • 過去問から自分の苦手分野を知る。
  • 苦手分野克服に時間を割く。
  • お勧めは検定講座を受講し、専門の講師から受験のポイント、パターン、アドバイスを受ける。

「検定試験対策・いつからはじめる?」

試験は毎年10月下旬です。
試験範囲は多岐にわたるので、普段時間が取れない方は当然早くから試験対策に取り掛かるべきです。
6か月前から計画的に試験対策を始めることをお勧めします。

「日本語を実際に外国人生徒に教える。日本語教育能力試験合格だけで十分?」

日本語教師になるには、また日本語教師の職に応募するなら「日本語教育能力試験合格」をしていれば可能です。
ですが、「実際に教える技術」と「教えることができる資格を持っている」のは全く別物です。

実際に採用されるときも、重視されるのは「授業を展開できる指導力」です。採用試験には、通常模擬授業も課されます。
通信講座・オンライン講座だけでは「授業を展開できる指導力」は絶対に習得できません。
即戦力のあかしを証明しないと採用されることはありませんし、実際に教えられた生徒が困ります。
基礎理論の理解はもちろん、実践を多く積み、自信をもって教壇に立ち、生徒の日本語能力を向上させる力をつけましょう。何のために「日本語教育能力検定試験」を受けるのか?

検定試験合格後のご自身の目的を再度確認することが必要です。

[今から日本語教師を目指される方]
NYAの420時間マスターコースは、実践を多く取り入れた講座です。https://www.ny-academy.com/course/master/
NYAの検定合格率は、毎年全国平均以上です。

NYAブログより

こんにちは。ニューヨークアカデミーです。
台風も過ぎ去り、朝晩は涼しく感じるようになりました。
「秋」~って感じですね♪
9月末にかけて、大橋校で中上級実習が行われました。人数が多かったため、2クラスにわけて行いました。
中上級実習では、博多駅近くにある日本語学校の学生に来ていただき、実習を行いました。受講生の皆さんも実習前には、空き教室で練習をたくさんしていました。当校では、実習系授業は1クラス10名と比較的少人数で行います。より実践力の高い教師を目指すことができますね。

以下、2020年4月に加筆した記事です。

日本語教師を目指すなら今がチャンス!

去る2020年3月文化庁で「日本語教師の資格のあり方について」の報告書がまとめられました。

 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kokugo/kokugo_73/pdf/92083701_02.pdf

報道等で目にされている方も多いと思いますが、現状とどのように変わるのかまとめます。

 

現状:条件のうちいずれかを満たせば日本語学校で勤務できる

新要件:条件をすべて満たさないと日本語学校での勤務はできない。資格者は「公認日本語教師」として登録証が発行される

 

現状

日本語学校(告示校)で勤務するためには、

・学士以上で420時間以上の養成講座を修了する

・日本語教育能力検定試験に合格する(学歴不問)

・大学、大学院で日本語教育学を履修

の3つのうちいずれかを満たせば、日本語学校等で勤務できる要件を満たすことができます。

地域のボランティアについては、要件ではありませんが、最近では上記の要件が求められるところも出てきているようです。

 

さて、今回の「日本語教師の資格のあり方」についての報告によると、今後は以下の3要件になります。

新要件

①新試験に合格

②教育実習45コマ以上、教壇実習2コマ(90分)以上 の履修

③学士

上記の3つ全てを満たすことが求められます。3つ満たすと「公認日本語教師」として登録機関において登録証が発行される仕組みです。

これまでは、大卒以上であれば養成講座420時間を修了するとそのまま日本語教師として勤務できておりましたが、修了後に、新試験の合格+教壇実習 をクリアしなければなりません。

日本語学習者に質の高い教育内容を提供するためには、教える側の日本語教師にも一定レベルの指導力が求められるのは至極当然のことです。

ただ、現状日本語教師を目指される方の多くは、第2のキャリア形成や転職等で目指される方が多いというのも一方で現実としてあります。

そういった方にとっては、新しく始まる新要件は取得までのハードルが高い・・・という声も聞こえてきます。

 

文化庁文化部国語課 「平成30年度国内の日本語教育の概要」より 単位:人

 

今がチャンス!

そこで今のうちに日本語教師を目指して養成講座の受講をスタートされることを強くおすすめします。

この新要件の開始にはあと1~2年は最低でも必要のようです。
早めにスタートしておけば、現行の要件で日本語教師になることができます

 

なお、よくある質問として、

教育実習と教壇実習ってどう違いますか?という質問があります。

「教育実習」は、指導するにあたっての方法を学ぶ時間です。いきなり、学生の前に立って授業をしてください、と言われてもどう教えていいか困りますよね・・・。そのための先生としての立ち居振る舞い、効果的な質問の仕方、絵カードの効果的な使い方、教案の作り方などなどを学びます。模擬授業などもここに含まれます。

この「教育実習」は養成講座や大学で学ぶことになります。

そして、実習で指導法を学んだあとに、いよいよ「教壇実習」です。

教壇実習では、実際の日本語学校などのクラスで日本語学習者の前で授業を行うものです。

皆さんの学生時代に中学校や高校に来ておられた「教育実習の先生」をイメージされると一番分かりやすいかと思います。この教壇自習を45分×2行うというものです。

現在の養成講座にもこうした実習は組み込まれておりますが、通う立場の受講生さんに合わせたスケジューリングがなされている所がほとんどです。新要件では、日本語教師を目指される方の方が、ご自身の仕事の都合を付ける(日本語学校の授業は平日の朝から夕方のため)必要が出てくるかと思います。今後、この点は各日本語学校側でも何かしらのプログラムとして実習を行いやすい体制に変わっていくかもしれませんが、この点からも今、スタートした方が何かと都合が付けやすいという面は否めません。

日本語教師を今後目指される方にとってはこの1,2年での取得がベストなタイミングです。