さて、海外2か国目は・・・・カナダです
カナダの西部にあるバンクーバー島の南部に位置するビクトリア。カナダの最南端ですが、横に大きい国で最南端という表現はあまりしませんね
まず、どうしてカナダを希望したかというと、
・よく小さな島国と言われる日本で生まれ育ったので、大きな国土で生活して、その人た ちの文化、考え方など体験したかった(とはいっても日本の国土の大きさは世界で約60番目。でも、なんか我々自身、日本を小さな国と思い込んでしまいますね)。
・植物学者の兄がイギリスを好きで、その影響か、イギリス色の強いところで生活してみたかった。
・それまでの大阪、韓国、群馬での日本語学習者はアジア圏が多く、白人は数名しかいなかった。
などの理由が挙げられます。
私のような「英語が話せない」者は、基本的には日本語教師としての欧米諸国での就職は難しいと言われます。そして、仮に英語が話せても欧米での就職となるとやはり「大卒」というのも必然になってきますね。アジア圏では大卒じゃなくても日本語教師としても働ける国はありますよ。
なので、私でもスムーズに仕事に就けたのが、「ボランティア」でした。渡航費から、生活費、教材コピーももちろん自腹で、授業の給与もありません。就労じゃないので、ビザはいわゆる「観光ビザ」で行って、日本語教育に携わりました。よって、私が赴任した学校、というより「日本語教室」も、安めのお月謝で通っている学生さんでした。
(左上:初級中 左下:中級 右上:ゼロ初級 右下:上級)
まず日本語授業での一番の思い出は・・・
それまでの「日本語教師としてのビリーフ(信念)が崩壊」したことです。群馬編でも「学生の何ができるようになる?」という考え方を持たせてくれるエピソードがありましたが、ここでもいい意味で自分を変えることができました。以前よりさらに私の授業は「使える日本語」という授業になり、学生からも好評をいただけるようになったので、私としてはボランティアといえども、カナダでもますます学生が「日本語が使えるようになる」授業を展開しました。
しかし、事件は起こりました。ある学生さんが急にこんなことを言ってきました。「ひろ先生。私はあなたの授業スタイルはいいと思う。しかし・・・・私には合わないようだ」のような内容を英語で言われました。英語が苦手な私は真意を理解するのに何度も聞き返して確認しました。すると続けて、「確かに使える日本語はいいが・・・残念ながら、私の周囲、ここビクトリアには使う相手、日本人がいないのだ」と。
愕然としました。ネイティブ日本人の日本語教師の私なので、当然、私から習う学生さんは、みんな日本語が使えるようになりたいと思っている、と私が決めつけていたんです。
そんな授業よりも、
学生A:このビデオ(どこから取り寄せたか、『ああっ女神様』『きまぐれオレンジロード』といったちょっとオタク系のアニメ)のセリフを通訳、英語でストーリーを説明してほしい。
学生B:私は料理が好きで和食のレシピの本を持っているんだが、ふりがなもなく漢字ばかりで、文法も難しく、翻訳してほしい。
学生C:私は合気道をやっているが、すぶりをするときの掛け声で「1・2・3・4・・・」を「いち・に・さん・し」と言うべきか「いち・に・さん・よん」と言うべきか、教えてほしい。。。
というどれも直接日本人と会話するときにあまり必要とは言えない要求を言われました。
でも、このおかげで私は気づきました。学生の満足度はそれぞれ違うんだと。何より、学生のニーズなどをはじめにちゃんと聞かずに、私が勝手に「使える日本語」を身につけたら学生は喜ぶと思い込んでいたことに問題があったのです。よくJFL(外国語としての日本語)とJSL(第2言語としての日本語)という表現がありますが、もちろん日本に来て日本語を学んでいる人にはJSLが必要でしょうが、日本には行かず、また日本人に使う機会がない人には、日本語を外国語として、知識教養として学ぶことが楽しいと思っている方もいることに心から気づきました。自分が外国にボランティアとして行ったからこそ、こういう学生さんに出会えたので、とても大事なことを教わりました。学生がどんな日本語を学びたいと思い、またどんな日本語が必要なのか、これらをじっくりと分析してこそ、よりいい授業ができることを学べました。
ビクトリアの街並みは、それまでの私の生活環境にはまったくないものでした。家を出て買い物に行くだけで、そこは植物園をまわるような毎日でした。他に、ボランティアで音楽療法活動をやっていた私は、高齢者が住みやすいことで有名なビクトリアの老人ホームを訪れ、施設を見学しダンスパーティーに参加。滞在中にハロウィンがあったので、即席で作った仮装でパーティーに参加。学生の親戚が山一つ持っていて、1日中乗馬させてもらったり。写真はありませんが、郵便局員が歩いて郵便物を届けていたり。実に「ゆっくり」時間が過ぎていく街がとても刺激的な3ヶ月でした!
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